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「人生を変えるスペイン語」 第2回:バルセロナ ミシュラン一つ星 日本料理レストランKoyshunkaオーナーシェフ 松久秀樹さん 後編

February 14, 2018

 

 

前回に引き続き、日本人初のスペインミシュランガイドで一つ星を獲得された、Koy Shunka オーナーシェフ 松久秀樹さんです。今回はなぜバルセロナに移住したのかをきっかけに、海外で成功する秘訣、経営者として考えていることをお聞きしました。ビジネスマン必見です!

 

                                                                                                                                                    

                

1to1:松久さんが、バルセロナにいらっしゃったきっかけってなんですか?

 

松久さん:料理人の修行をしているときに、姉がスペインに留学していたこともあって、スペインに来たのがきっかけです。ここバルセロナは気候もいい、食べ物もおいしい、海に面していて魚介類も豊富。三拍子そろった良いロケーションなんです。でも、当時、日本食のレベルはまだまだ低かった。これはチャンスだと思ったわけです。

 

1to1:いまのお店が成功した要因はなんですか?

 

松久さん:一言でいうと、「誰もやったことのない、新しいことを、一番最初にやること」でしょうか。このお店Koy Shunkaが成功できたのは、バルセロナで初めて「まな板まで見えるお店」というコンセプトの和食店としてオープンしたことです。当時、こんなことやる人なんていなかったので、スペイン料理界には大きなインパクトだったようです。お客様にも、「おいしい」以上の感動を与えることができますし、料理人も見られていると感じることで常に整理整頓を意識するようになる。こういった基本がとっても大事なんですよ。料理ってそんなに難しいことではなくて、極端な話、美味しい出汁や塩加減といった基本を完璧に学ぶといった原体験があれば、細く長く続けられる。

 

1to1:そうなんですね。私はもっと複雑なことをやってらっしゃるのかと思っていました。

 

松久さん:そもそも、人間も数万年前までは生で食べてたんですよね。つまり、生で食べる美味しさというのは、遺伝子レベルで記憶しているものだと思っています。そうすると、次に出てくるのは「ちぎる/切る」という動作。私はここが究極であるほどよいと思っています。ただ、これを究極というレベルまで持ってくるのは難しい。単純だけど奥が深い世界なんです。もちろん、素材がおいしいというのは大前提ですね。その意味ではスペインはもともと農業国なので素材は間違いない。

 

従業員のことを考えても、基本を教えることがいちばん大切だと思っています。今の時代、インターネットがあるので、それこそ和食のレシピなんて無料で見れる。だけど、情報が多すぎて、何が正しいのかわからない。同じレベルで再現できない。だからこそ、基本を何度も繰り返して、自分だけで再現できるレベルまで覚えることが大事なんです。

 

1to1:確かに、「しゃり切り10年」とか、花板になるまでに何年も修行が必要だって聞いたことがあります。こちらでも、日本と同じ育成方法をとられているんですか?

 

松久さん:似てるけど、ちょっと違います。確かに、おこめをとぐとか、同じことをずっとやらせる一方で、新しいことも任せるようにしています。同じことをずっとやらせるのは理由があって、始めたときと比べて、成長を感じることができるからなんですね。見ようによっては同じ動作でも、その日によって素材が違うので、その微妙な違いを感じて、正しく対処できるようになる、これが成長です。例えばおこめを炊くということ。同じおこめでも保存によって、あるいはその日の天気によって、水分量が違います。それに合わせて、炊くときにいれる水の量や、炊き方を調整します。こういった日々の変化を感じ取り、対応できる力を身につけてもらいたいと思っています。

 

1to1:ものすごくステレオタイプな話ですが、日本人は忍耐強いから耐えられるかもしれないですが、海外の方は修行の途中で辞めたりされないですか?

 

松久さん:最初は周りのレストランオーナーからも、従業員が1年もたずにやめるんじゃないかとか、さんざん脅されましたけど、蓋を開けてみると2年以上残ってくれている。今やっている修行に価値があると思ってくれているからだと思います。

                               

でも、辞めたい、という人がゼロというわけではありません。でもその都度、従業員と対話するようにしています。これは多分、国の違いとか関係ないことじゃないかなと思いますが、一人ひとりと向き合い、短所や長所、その人が居心地のいい環境を見極めて、そのように配置することが第一歩。その上で、アメとムチじゃないですけど、昇進や昇給、あるいはマンツーマンのレッスンなど、その人にとって最適なものを、最適なタイミングで与える。

 

 

 

「注意する」のも重要で、そもそも注意するのは、相手によくなってもらいたいという気持ちからなんですよね。だから、注意の仕方も相手によって変えます。それは、「注意する」ことが目的ではなくて、「相手が自主的に改善する」ことが目的だから。例えば、ここスペインでは、「すべてが完璧に揃っていなくてもいい、ちょっとくらい失敗してもいい」というおおらかな文化。そんな中で、例えば、ちょっと寝坊しただけで、厳しく叱るといった、完璧主義を基準にした叱り方は避けています。ただ、お店に損失があったのは事実なので、それを理解させた上で、改善するまで少しランクの低い仕事をさせるといった対応をしています。

 

1to1:なるほど。やっぱりそういったアジャストも大切なんですね。大変勉強になりました。本日は長い時間、ありがとうございました!

 

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