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「人生を変えるスペイン語」第1回:TOFU CATALAN創業者 清水建宇さん

January 30, 2018

1to1スパニッシュ新企画 「人生を変えるスペイン語」

第1回:TOFU CATALAN創業者 清水建宇さん

 

~「普通」の豆腐屋をバルセロナに!元新聞記者の夢と挑戦~

 

バルセロナを中心に活躍されている日本人の方にインタビューして、スペイン語の勉強方法だけでなく、スペイン語を武器にどうやって人生を切り拓いてきたのか、対談形式でつづります。

初回はバルセロナで大人気の豆腐屋「TOFU CATALAN」創業者の清水建宇さん。元朝日新聞の記者である清水さんがバルセロナで起業した理由、スペインへの想い、スペイン語との付き合い方など、ご紹介いたします!

 

(清水建宇さん プロフィール)

1947年生まれ。朝日新聞社にて記者、「週刊朝日」副編集長、「論座」編集長、論説委員等を歴任。2010年にバルセロナにTOFU CATALANを開店。

 

 

 

「ニュースステーション」のコメンテーターとして活躍

 

 

1to1: 本日はお時間をいただきましてありがとうございます。我々、TOFU CATALANの大ファンでして、是非清水さんにお話を伺いたいと思っていました。宜しくお願いいたします。

 

清水さん: こちらこそ宜しくお願いいたします。

 

1to1: 清水さんは元々朝日新聞で記者をされていて、ニュースステーション(1985~2004テレビ朝日系列の報道番組)にも出演されてたんですよね?

 

清水さん: そうなんです、レギュラーコメンテーターとして週に3~4回出演していました。

 

1to1: 元新聞記者の清水さんにインタビューさせていただくというのも、何とも恐縮な話なのですが・・・(笑)

 

清水さん: いえいえどんでもない。何でも聞いてください。

 

1to1: ちなみに本日伺いたい内容を事前にお伝えしますと・・・

 

清水さん: 1to1スパニッシュの皆さん、事前に質問事項を伝えてしまうと面白い話が聞けないですよ(笑)。頭の中で何を話すか準備ができちゃうのでね。ズバッと予想外の質問をする方が、面白い話を引き出せるものですよ。

 

1to1: おおお、さすがインタビューのプロ、、、大変勉強になります!!

 

 

記者時代にバルセロナに一目ぼれ

 

 

1to1: では遠慮なく単刀直入に質問させていただきます(笑) ズバリ、今の一番の売れ筋商品は何ですか??

 

清水さん: やっぱり豆腐が一番売れていますね。最近では納豆もなかなか人気が高いです。お弁当も好評ですよ。

 

1to1: 我が家もいつも豆腐を買わせていただいています!お弁当は僕らが通っている大学院にも配達してもらっていて、外国人の学生にも大人気です。豆腐を買うお客さんはやはり日本人が多いですか?

 

清水さん: いやいや、6割スペイン人、4割日本人という感じです。

 

1to1: そうなんですか!スペイン人が豆腐を食べているイメージがあまりなかったのですが、半数以上とはすごいですね。

 

清水さん: 外国でビジネスをやるからには地元の人に受け入れられないと本物とは言えない、そういう思いでやってきましたから、まだ発展途上ですが、多くのスペイン人のお客様に利用していただいてるのは嬉しいですね。

 

1to1: バルセロナで起業しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 

清水さん: もともと朝日新聞では社会部で殺人事件等を専門に扱う事件記者をやっていました。それがある日突然異動の話があり、「世界名画の旅」の取材担当になったんですね。

 

1to1: 事件から絵画とは大きな変化ですね

 

清水さん: そうなんです。それで、世界各国の美術館を訪問して取材することになり、15カ国、21都市を飛び回ったんですね。その中でバルセロナも訪問したのですが、一言で言えば恋に落ちてしまったんです。

 

1to1: バルセロナが気に入ってしまったと。具体的にはどんな部分に惹かれたんですか?

 

清水さん: それはもう、気候はいいし、食べ物は最高に美味しいし。。

 

1to1: 分かります、完全に同意いたします(笑) 僕らも留学先にバルセロナを選んで大正解だったと思ってます(笑)

 

清水さん: でもね、それよりももっと大きな理由があるんです。ヨーロッパもアメリカも含めて様々な国を訪問したのですが、バルセロナに滞在した時だけ、「アジアから来た人」という目で見られている感覚が全くなかったんです。他の国では、当時は今に比べて日本人が外国に行くことがそれほど当たり前ではなかったこともあると思いますが、やはり多少なりとも「よそ者」として見られているという居心地の悪さを感じました。ところがバルセロナでは、街を歩いていても、バルで食事をしていても、全くそういう感覚を持たずにリラックスして滞在できたんですね。それで恋に落ちてしまい、定年後は絶対バルセロナに住もうと心に誓いました。

 

1to1: 僕らも1年以上生活していますが、その感覚はすごくよく分かります。疎外されるどころか、みんなフレンドリーに話しかけてきてくれますしね。世界でも有数の観光地だから異文化に対する許容があるのでしょうかね?あるいは日本ブームで親日であることが理由とか。。

 

清水さん: それも一つかもしれないですけど、私の仮説では、今のカタルーニャ独立問題にも関係しますが、18世紀のスペイン王位承継戦でブルボン家が勝利してカタルーニャが自治権を失って以来、バルセロナの人たちはスペインに迫害されてきたという意識が非常に強い。その結果、スペイン=敵、その他=味方、のような形で我々外国人に対する温かみが醸成されているのではないかと。あくまで仮説ですけどね。

 

 

 

バルセロナに「普通」の豆腐屋を作ろうと思った

 

 

1to1: そうした一目ぼれのきっかけがあって、本当にご定年後に計画を実行に移されているのが清水さんのすごいところですが、途中で気持ちが変わったりはしなかったのですか?

 

清水さん: その一目ぼれしたバルセロナ出張から帰ったあとに、まず会社の同僚達に「60歳になったらバルセロナに行く」と豪語しました。これで引っ込みがつかなくなった(笑)。子供達にも「お父さんとお母さんは定年したらバルセロナに行くからね」と話していました。

 

1to1: まさに有言実行、カッコいいです!豆腐屋をやろうと思ったきっかけはあったのでしょうか?

 

清水さん: 先に話したように、バルセロナはあらゆる面で最高の街だったのですが、あるものが欠けていたんです。そう、美味しい豆腐が買えなかった。僕は豆腐が大好きで、うまい豆腐なしでは生きていけない。でもバルセロナにはうまい豆腐がない。だけど絶対にバルセロナに住みたい。もうそうなると答えは一つしかない(笑)

 

1to1: バルセロナにうまい豆腐屋を作ってしまえば全て解決すると(笑)

 

清水さん: そうです。それで定年退職後に、千葉の習志野の豆腐屋で半年間修行しました。最初の3か月間は皿洗い、次の3か月で豆腐の作り方を覚えて。

 

1to1: そこで本格的に豆腐作りを学んだことが、今の成功の土台になってるんですね。実際にバルセロナでお店を開いて苦労したことはありますか?

 

清水さん: 店名のTOFU CATALANなんですが、弁護士から、TOFUは一般名詞だから商標登録できないといわれて、これは困ったと。しかし引き下がるわけにはいかないので、TOFUは「豆腐」ではなく「東風」で同じ単語じゃないんだと説明して認めてもらいました(笑)

 

1to1: 「TOFU CATALAN」は「東風カタラン」なんですね(笑)確かに入口ののれんにも「東風」の文字がありますね!立ち上げ直後の集客はどのようにやっていたのでしょうか?

 

清水さん: 今はもうないですけど、当時はOCS NEWSというスペイン国内のニュースを日本語で提供している情報媒体がありまして、バルセロナに住む日本人の大半が目を通していました。開店前にその媒体に3回広告を掲載したんです。

 

1to1: 新聞広告ですと目を惹くキャッチコピーが重要な気がするのですが、工夫した点はありましたか?

 

清水さん: 「バルセロナに「普通」の豆腐屋ができます」と書きました。日本ではごく当たり前に食べられる普通の豆腐をバルセロナで提供しますと。

 

1to1: 「普通=本物」ですものね。日本人にはグッときますね。効果はどうでしたか?

 

清水さん: 開業の日は行列ができました。

 

1to1: 素晴らしい!!当時は日本人のお客さんが中心だったかと思うのですが、そこから徐々に地元のスペイン人にも受け入れられるように?

 

清水さん: 先ほどもお話しましたが、やはりスペインで本物と呼ばれるためには、スペイン人に評価されなければならないという思いがありました。またバルセロナに住む日本人は2,500人程度、バルセロナの人口は約300万人と言われており、やはり商売するなら300万人のマーケットで勝負したいと思い、フェイスブックでもスペイン語と日本語の両方で情報を発信するなど、色々模索しながらやってきました。こうした地道な取り組みあってか、2017年の8月には地元のテレビ番組でも紹介されたんですよ。これも一つのキッカケとなり、スペイン人のお客さんがかなり増えて、今では6割まできています。

 

 

必死になればスペイン語でコミュニケーションできる

 

 

1to1: バルセロナに移住する前からスペイン語は学ばれてたのですか?

 

清水さん: 定年退職する1週間前から、セルバンテス文化センターのスペイン語教室に通い始めて勉強していました。ただその時は、会話よりもスペイン語の数字を徹底的に覚えることに集中していましたね。というのも、商売ではお客様とのやり取りにしても仕入れ先とのやり取りにしても必ず金銭が関係するからです。駐車場に止まっている車の4桁のナンバーを見て瞬時にスペイン語で置き換える訓練を毎日やっていました。これは開業後に本当に役に立ちました。

 

1to1: まさにサバイバルスパニッシュですね。こちらに移住してからは継続的に学習を?

 

清水さん: 毎日早朝から夜まで働きづめですので、ゆっくりスペイン語を勉強する時間はありません。しかし仕事でスペイン語を使いますので、日々仕事をしながら覚えてきたというのが実感です。妻は一時期、家庭教師と週に2回スペイン語のレッスンをしていました。

 

1to1: 清水さんの経験をもとに、スペイン語上達のコツがあれば教えていただけますか?

 

清水さん: やはり習うより慣れろ、だと思いますね。自分もそうですが、毎日使っていると自然と覚えてくるものです。あとはとにかく伝えようとする姿勢が大事だとも思います。もしかしたら文法や単語は間違っているかもしれないけど、身振り手振りを交えて必死になって伝えようとすれば相手には必ず伝わるし、その結果気が付いたらコミュニケーションが成立している、そんな風に感じています。

 

1to1: 異国の地でゼロから事業を立ち上げて勝ち抜いてきた清水さんの言葉だけに、説得力があります。最後に、スペイン語の学習者にメッセージをお願いできますでしょうか?

 

清水さん: スペイン語を使わなければいけない環境に自らを追い込むのが一番です。そうすればきっと上達すると思います。頑張って下さい!

 

1to1: 本日は長い時間本当にありがとうございました。今後もTOFU CATALAN利用させていただきます!!

 

(構成・文 1to1スパニッシュ)

 

 

 

 

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